皆さんこんにちは。今回の記事では、終活をしようとしているご自身の推定相続人に認知症の方や、障害をお持ちの方がおられるケースを取り上げたいと思います。
自身が亡くなった後に、これら認知症や障害をお持ちの方がおられる場合は、これらの方々は自分で相続手続きができない場合が多いです。そこで、関係機関(銀行など)から求められるのが、これらの方々のために成年後見人をつけてくれという要望です。
遺言がない限り、この成年後見人が認知症の方などに代わって遺産分割協議などに参加していくことになります。成年後見人は、その方の法定相続分を請求します。ですので、終活をするご自身が認知症の方などにはすでに財産があるから少なめに残そうと考えていたとしても、成年後見人がその考えに応ずることは基本的にはできません。
そこで、相続人に認知症の方や障害をお持ちの方がおられる場合にも、やはり遺言が重要となってきます。障害をお持ちの方のケースを例に説明していきます。
様々な考え方がありますが、一般的に知的障害などをお持ちの方は、公的年金の受給や施設への入所が済んでいるなど生活面・金銭面がすでに整っている場合が多いです。話は少しそれますが、このお金の面と生活面がうまく回る仕組みづくりこそが、知的障害をお持ちの方の支援において最も重要なことです。逆にこれらの方々は、この仕組みづくりさえできていれば、その他に多額の財産を必要とされていないケースも多く存在します。
ですが、成年後見人がついてしまうとその業務の性質上、法定相続分を請求されます。ですので終活をされるご本人が、他の子供たちに多めに残したいという考えなどをお持ちの場合、やはり遺言でその意思を表明しておくことは必須です。
なぜ、私がこのようなことをお伝えしているかというと、先ほどまでに申し上げた法定相続分の請求に加えてもう一つ理由があります。それは、成年後見人が一度つくと(判断能力を回復されるなどのよほどのことがない限り)、お亡くなりになるまで取り消しができないからです。
つまり、成年後見人をつけたきっかけである相続手続きは完了したが、その成年後見人はその後もずっと就任し、そこには報酬が発生するわけです。これが現行の成年後見制度の特徴です。
終活を考える際に、ご親族に認知症の方や知的障害をお持ちの方がおられるケースでは、遺言の作成を検討していただければと思います。
最後に付け加えておくと、私は障害をお持ちの方に財産を残さなくてよいという意図でお話したわけではありません。本来法定相続分はその方の権利ともいえます。ただ現実として多額の遺産を必要とする方とされない方がおられるのが通常です。自分らしい終活で思い通りの財産の分配を考えていただきたいのです。これが私が今回お伝えしたかったことです。
かめのこ行政書士事務所では、遺言原案作成業務、また成年後見人就任などの業務を取り扱っております。あわせて知的障害をお持ちの方の「親亡きあと」に関する相談業務も受け付けております。ご興味を持たれた方はぜひ一度お話にいらしてください。出張相談も受け付けております。
それでは今回も最後までお読みいただきありがとうございました。また次の記事でお会いしましょう。